心菜が無事に車に乗り込んだと連絡が入り、俺は堂々と顔を晒してロビーを闊歩する。

ファン達はザッと100人近くいる。

数メートルの間に、サインを求められたり写真を撮らたり、まるで客寄せパンダのような気分でなんとかロビーを通り抜ける。

心菜の待つロケ車に着いた時には、魂を抜かれたような脱帽感を味わう。

「さすがに疲れた。」
心菜の隣り腰を下ろし、フーッと深いため息を吐く。

「お疲れ様。」
心菜が笑顔で労ってくれる。

2人っきりだったら抱きついていたところだが、スタッフの手前それも出来ず、頭をポンポンと触れるに止まる。