こうして忍耐の日々を繰り返し、2ヶ月後…。

やっと心菜は産休に入る。

ひたすら大きくなったお腹を撫ぜ、日に日に愛しさを増すこの気持ちを抑え込む。

出産準備の為、日本に帰るまで後1週間。

この部屋に住み始め増えていった日用品や、ベビー用品を丁寧にダンボールに詰めて行く。

書き溜めた五線譜に目を通し、日本に帰ったら多忙な日々が戻ってくる気配を感じ、人知れずため息を吐く。

ついさっきリモートワークの会議の中、このまま俺も一緒に育休に入れないかと、事務所スタッフにダメ元で投げかけたてみたが、あえなく却下された。