唇が触れ合うだけの優しいキスが降り注ぐ。

もっと近付きたくて無意識に、蓮さんの首に手を回して抱き付くと、そっと抱きしめ返してくれるから、もっともっとと求めてしまう。

「これ以上は俺が持たない…。」
そう蓮さんが呟き、不意にスッと離れてしまうから、寂しく感じて、行かないでと思わず裾を掴んでしまう。

見つめ合う事数秒…

はぁーと深いため息と共に、
「そんな顔されるとこっちが困る。
…いつだって抱きたいのを我慢してるんだ。あんまり煽るな。」

困り顔を見せつつ、それでも隣に寝転がりヨシヨシと頭を撫ぜてくれる。

それがとっても嬉しくて、何か私も返してあげたいと気持ちが急く。

「…どうすれば良い?」
遠慮がちにそっと聞く。

もう日本を離れて半年以上、致してない訳で…男の人にとってそれは辛い事ではないだろうか…。
上目遣いでそっと見つめる。

蓮さんは怪訝な顔で固まり、片手を口に当て思考を巡らせているようだ。
私は勇気を出して蓮さんの下半身にそっと手を忍ばせ触れてみる。

蓮さんが目を見開きビクッと身体を震わす。

どうして良いか分からないながらも、優しく撫ぜてみる。

「…ダメだ。」
ぎゅっと手を掴まれて阻止される。

私は急に我に帰って、恥ずかしさでいっぱいになまって、真っ赤になった顔を隠したくて布団の中に潜り込む。

「…ごめんなさい。
私にも何か…出来る事があるかと思って…。」
小さな声でそう言うのが精一杯だった。
穴があったら入りたいとはこう言う事だ。

恥ずかしくて、居た堪れなくて…掴まれた手を離して欲しいと、半ば強引に引っ張る。

それでも手は離してもらえない。

数秒…拷問のような時間が続き、蓮さんがボソッと話し出す。

「俺の我慢なんて、心菜が子を産む事に比べたら微々たるものだ。
耐えてみせるし、心菜以外を欲しいとは絶対思わないから心配するな。」

掴まれている手をぎゅっと握ってくる。

私はと言うと、もう言葉なんて発する勇気も無くて、こくんと頷く事しか出来ない。

手をそっと持ち上げ、手の甲に優しいキスをしてくれる。