16時過ぎ、思いのほか熟睡してしまった心菜が慌ててキッチンに行くと、野菜たっぷりのコンソメスープがクツクツと煮込まれ、美味しそうな匂いが部屋中を漂っていた。

蓮はスープの火加減を見ながら何やらスマホを動かしている。

「ごめんね、ありがとう。結構長く寝ちゃってた。」

蓮に声をかけると、

「ああ、目が覚めたのか。体調は平気か?」
サラッと頬を触れて心配そうに顔色を確認してくるから、

「ただの寝不足だから大丈夫だよ。ちょっと寝たらスッキリした。」
と、笑顔を向ける。

「良かった。カレーは心菜にしか出せない味だからどうしようかと思ってた。
今いろいろレシピを検索してみたけど、奥が深くて俺には無理だ。」

そう言って、腕まくりをしてコンソメスープの火を止める。
味見の為に、スプーンにお玉で小さな小皿に注いで心菜に差し出す。

心菜は両手で溢さないようにそれを受け取り、フーフーしながら口に運ぶ。

「う〜ん、美味しい。すっごくコクがあってお野菜の出汁も出てるし良い味出てるよ。」

「良かった。後は心菜のカレーだな。手伝うから教えてくれ。」
と、カレーの材料を出しながら言う。

「後は、私がやるから蓮さんは休んでて。」
手を洗いながら蓮に微笑む。

「2人でやった方が早い。」
手伝う事は既に彼の中で決定事項のようだ。

仕方なく、心菜はそれ以外言わず一緒にカレー作りに取りかかった。