「本当なのか?」と総長様に聞かれ、私は床にお尻をついたまま首を横に振る。



「本人は認めてないみたいだけど」


「総長様、騙されないでください。うちら10人が証人なんです。盗んでるところを、この目で見たんです」


「で? 財布を盗まれたのは、このクラスの誰なんだ?」


「えっと……いっ一番後ろに座ってる眼鏡女子の……細田さんので……」


「ふ~ん。じゃぁ、本人に直接確かめるか」



総長様はそう言うと、ズボンのポケットに手を突っ込んだまま歩き出した。



背を向けているから総長様は気づいていないが、男女10人は細田さんを睨みつけていて。

『空気読めよ』と言わんばかりの威圧的な視線を、細田さんに突き刺している。