イライラのマグマが噴火して、ドアを思いきり拳で叩き、怒鳴り声を上げたのは
野いちご学園の生徒会長で、暴走族の最強総長
『東条朝都先輩』だから。
総長様は不機嫌顔で教室の中に入ってくると、男女10人の前に立ち腕を組んだ。
「なにこれ? イジメ?」
「あっ、ここっ、この状況は……」
「クラスメイト一人を取り囲んで何してるのか、正直に話せって言ってるんだけど」
「ちっ、違うんです!」
「私たちがイジメなんか、するはずがないじゃないですか!」
「じゃあなに?」
「朝都先輩は勘違いしてます。実は花園さんが、クラスメイトのお財布を盗んで」
えっ?
「あっうん、そうそう。返してあげなって言っても、お金を全部使っちゃって残ってないから無理って、花園さん返してあげなくて」
私、誰かのものを盗んだことなんて一度もないのに。