集団でイジメている方の言い分は、明らかにおかしくて。
イジメられている子は何も悪くないと、私はわかっていたはずなのに。
教室の隅の席に座り、長い前髪で視界を隠しうつむくだけ。
聞こえてくる罵声も、手で耳を塞いで聞こえないようにして、安全な場所で嵐が過ぎ去るのを待った。
イジメの集団が晴れやかな顔で教室から出ていった後
集団に言いたい放題文句を言われ、涙がこぼれるのを必死に我慢していたその子と目が合った。
なんで私を助けてくれなかったの?
酷いじゃん!
そう私を怒鳴りつけても、おかしくなかったのに……
苦しそうに涙をこらえながらも、その子は私に微笑んだんだ。
『一人って……無力だよね……』って。
その後、その子は不登校になり転校してしまった。
それからの私は、あの時の彼女のつらそうな笑顔を、思い出さなかった日は一度もない。