「!そう…それじゃ、あなたに言っておくわ。詩伊1人だけを愛してなんて、男には言わない。でも、うちの詩伊を大切にして」


「俺は詩伊1人だけだ」




数多くの女と、なんて男の責務を果たす義理はない。

俺の心を奪えるのは詩伊だけだ。


大切な女を腕の中に閉じ込めると、女は用が済んだのか帰って行った。

詩伊が返事をしていたから、別れの言葉を言っていたんだろうが、いちいち耳を傾けるのもめんどくさい。




「や、弥斗さん。その…あ、朝ご飯に、しましょうか?」




女が帰った後、詩伊は頬を赤くして、視線を逸らしながら俺に言う。

…可愛い。




「あぁ」




俺はゆっくり詩伊を離して、一緒にキッチンに向かった。