少し屈んで場所を合わせてやると、唇が触れ合った。
限界だったのか、すぐに離れるそれを追いかけて、俺からキスをする。
ずるくたっていい。
一度きりの詩伊からのキス、これは絶対に忘れない。
「や、弥斗さんっ…!」
「好きだ」
「っ!!」
詩伊のことを思うと、意識しなくても甘ったるい声が出る。
真っ赤な顔をして潤む瞳がどんなに可愛いか。
このまま部屋に連れて行って、悲鳴を上げるまで甘やかしたい。
…いや、詩伊はすぐ悲鳴を上げるか。
「わ、分かったわ!あたしも女、恋してる顔は分かるもの。…不審者扱いして悪かったわね」
「…」
「こ、恋って…っ!」
「全くもう、いつの間に女の子になってたんだか。ほら、詩伊。これ、プレゼントよ」