すると、先輩がカチャッと鍵を閉める音が聞こえた気がした。


「せ、先輩…?」


「やっと2人きりになれたぁああ…」


仕事に疲れたのか、私を支えに抱きついてきた先輩。


「ふぇ!?そのために呼んだんですか…!」


「いやそれ以外で呼ばないし、俺」


少し意地悪そうに笑った先輩は私をソファに連れて座らせられ、向かい合う形になって、結果的に私が先輩を見下ろす形になった。


な、何この体勢…!


「先輩、恥ずかしいです…」


「ーーー櫂って呼んでよ」


「へっ!?」


な、何で急に…!?


「カレカノでしょ、俺ら」


「そ、そうですけど…!」


なんと言うか無礼行為に値してる気がする…!


「ほら、呼んでみなって。“櫂”って」


「せ、せめて先輩呼びにさせて下さい…!」


「うーーーーん」


「嫌な顔しないでください…!」


「……ま、今は良しにしてあげる」


「か、櫂先輩…」


「ん」


これ恥ずかしい…!


体勢がなんとも言えなくて尚更!


「あ、の、席について話したいです…」


「却下」


「なぜ!?」


「可愛い彩が見えにくくなっちゃうから」


「っ…」


「話すならくっついて話そーよ?」


さっきよりもギューッて強く抱きしめてきた櫂先輩。


か、可愛い…っ!


「しょ、しょうがないですね…!今回だけですよ!」


「やった」


こんな先輩普段見れないから許しちゃったよぉお。


私先輩に弱すぎ…!!


「それで、話って?」


「明日、一緒に文化祭回りませんか…?」


「!」


「あ、えっと、少しでいいので…!先輩お仕事いっぱいあるだろうし…」


櫂先輩は生徒会長だから、きっと忙しいはず…!


「…少しはやだな、俺」


「へ?」


「文化祭1年に一回しかないんだよ?来年は俺受験生のせいで参加出来ないし、だから彩との思い出いっぱい作りたい」


「じゃあ…」


「明日、時間空けといて。迎えに行く」


「!私が迎え行きたいです…!」


「だーめ、彩が狙われちゃう」


「狙われ…?何に狙われるんですか?」


「……はぁあ…ったく、可愛いの自覚してないよね、彩は」


「かわ…!?突然どうしたんですか、先輩…!」


「何も。可愛すぎる彼女持つって苦労するな」


「?」


こうして、委員会が終わった放課後に私たちは一緒に過ごして。



ついにーー…