富谷先輩と付き合って、1ヶ月が経った。


「では、明日の最終確認をします」


文化祭前日の放課後の特別教室にて。


明日の文化祭のために、最終確認を行う生徒会長である富谷先輩は、私たち文化祭実行委員に指示や説明をしている。


「明日は一般来校者もご来校するため、人混みが予想されますのでインフルエンザが流行っているので感染予防を徹底的に、


生徒の個人情報流出も学校側が漏れないようしてくださいますが、各クラスでの注意喚起を促しておいて下さい」


うぅ、今日も富谷先輩、かっこいい…!


あんな人が、今では私の彼氏だなんて……


「…小桜さん」


「ひゃ、はい!」


ニヤつきながら、富谷先輩のお話を聞いていると、なぜか突然指名された。


なな何で今指名されたの!?


「今の話聞いてましたか?」


にっこりと笑う先輩はどす黒いイライラオーラが私には見えた、…いや見えてしまった。


「きき、聞いてました!」


「ん、なら大丈夫ですね」


にっこりと微笑む富谷先輩。


お、怒らせてしまったかも…!


明日が文化祭とはいえ、まだ始まってもないんだし、引き締めて頑張らなくちゃ…!


そうこうしてる間に、富谷先輩は私のせいで止まってしまった説明を進めていた。


「詳細は1週間前配布したプリントに書かれているのでよく見ておいてください。


本日の委員会は以上です。各学年委員長以外は解散して下さい」


?委員長に何があるんだろう…?


「はぁ〜…委員会短すぎね?たったの10分じゃん」


「それな」


委員長以外の生徒は次々と下校していく。


その時、とある男子2人が、委員会に対して愚痴を溢した。


あはは…短すぎて逆に不満になってる…


心の中で苦笑いをした後、私は富谷先輩の方へ向かった。


「先輩」


「ん、各学年の委員長集まってもらいありがとうございます」


「で、櫂、委員長何すんの?」


柊先輩が富谷先輩に尋ねる。


実はというと、柊先輩が同じ委員会に所属してると今日の委員会で判明。


私、本当に富谷先輩しか見てなかったんだな…。


柊先輩に今日一緒の委員会であることに気づいたことを心の中で謝った。


「文化祭後の会計まとめて欲しくって」


「わかりました」


「それを文化祭1週間後に生徒会に提出してください。プリントは文化祭終わってから渡します。以上です」


委員長のみの会議も終わり、帰ろうとした時だった。


「彩」


「?はい、どうしたんですか、先輩」


お付き合いをしてから、先輩と基本はあまり変わったことはないんだけど、強いて言うと、


私を“彩ちゃん”ではなく“彩”と呼ぶようになったことと付き合う前よりも愛情表現が豊かになったこと。


けど、私は未だに富谷先輩を名前で呼んだことがない。


だ、だって、なんか恥ずかしいんだもん…!


「生徒会室に来てくれる?」


内容は生徒会室へのお呼び出し。


先輩、生徒会室に荷物でも置いてるのかな?


「?はい…!」


返事をして、先輩の後ろに荷物を持ってついていき、生徒会室へ向かう。


「入って」


「?はい」


先輩の声に頷いて生徒会室に入る。