そして彼女たちに目を配った後、彩ちゃんを見る。


堂々と俺の目を見てきてるけど、静かに手先が震えてるように見えた。


そりゃそうだ。だって俺には、「告白したら100%振られる」っていう噂がある。


彩ちゃんと俺が両想いになったとしても、彼女たちは彩ちゃんを気にいることはないと思う。


だって……入学式当初から彩ちゃんのことはすぐに有名になって、


告白しないだけで彩ちゃんと付き合いたいと思う男子はそこらに山ほどいるんだから。


下手したら、俺のせいでいじめに巻き込む。


少し前に聞いた話だと、下級生の女の子があの3人に嫌がらせされたとどこからかの噂が耳に入った。


幸いその子には周りに友達がいて、尚且つこちらが誰がやったのかある程度分かっていたから、大事にならなかった。


けど……彩ちゃんの場合違う。


学校の中の有名人だし、しかも本当に可愛いし、あいつらが妬むことだけじゃ済まない。


俺のせいで彩ちゃんを傷つけたくない。


だから、俺はーーー


「ごめん、無理。タイプじゃないんだよね」


思ってもないことを口にして、この告白をあっさり終わらせた。


いつもと“違う”断りをして。


いつもだったら『恋愛をする気がない』と言って断るが、今回は違う。


好きな子を断ってるんだ。


両想いなのが分かったのに、邪魔されるとかタイミング悪すぎる。


だから、俺はーーー断るも脈がなくならない返事をしたんだ。