「あははっ、ごめんごめん」


ケラケラ笑いながら、ミルククレープをフォークで刺し渡す。


ーーー先輩のフォークで。


「せ、先輩っ?私フォークありますよ…っ?」


「いーからいーから。お詫びだよ。スイーツの一口目の刑は、重いんでしょっ?」


どこか色気のある口調となった先輩に思わずドキッとする。


てか、これって……


「じゃ、じゃあ、遠慮なく頂きますからね!!?」


「…どーぞ」


勢いのまま食べたミルククレープの甘さが口に広がる。


美味しい、けど……先輩は、何をお考えで!?


ドキドキ。


私、今ヤバいと思う。


だって、私今……


顔が、耳が、りんごみたいに真っ赤っかになっちゃってるもん。


「…彩ちゃん」


「ふぁい!?」


先輩に名前を呼ばれ、思わず高めの声を出してしまった私。


ヤバい、私今テンパってるよ…!


「…あははっ、もしかして、ドキドキしてたりしたの?」


「な…!?」


先輩、もしやからかってる…!?


先輩はズルい。


私ばっかり好きが溢れて、先輩は私のことをちっとも好きになってくれない。


先輩がからかうなら、私だって、意地悪していいですよね……?


「…はいっ、すごくドキドキしました。先輩にだけですからねっ、こんなにドキドキするのっ!」


「!っ…何それ、めっちゃ反則じゃん」


「?」


は、反則…っ?


今の言葉に反則なんてあった……?


「ズルいなぁ…」


ボソッと私の耳に届かずも何かを呟いた先輩。


「?何か言いました?」


「んー何もない。じゃあ食べよっか」


「あ、はい!」


最後のは何だったんだろう?と思いつつも、話はすぐに方向転換をし、


それからは平常運転でいつものように“先輩後輩絡みのおしゃべり“となった。


もちろんアピールは欠かさずにね。