私は一瞬先輩の私服姿に見惚れる。


か、かっこいい…っ。


制服姿もカッコよかったけど、私服姿なんてもっとカッコいいよ。


「…?どうしたの、彩ちゃん」


首を傾げて、私にはてなマークを浮かべてくる富谷先輩。


ハッ。見惚れすぎてた…!


「い、いえ、何でもないです…!」


咄嗟に誤魔化して、何事もないように振る舞う。


「…そっか」


ふぅ…。よかった、気づかれていない。


「そういえばどうして遅れて来たんですか…?」


「あー…実はさ、電車寝過ごしちゃったんだよね」


「えぇ!?」


「寝てたらここの駅過ぎちゃってて、引き返しに来たんだけど、やっぱり時間オーバーしちゃって。本当にごめん」


頭を下げて、何度も謝ってくる先輩。


そんな謝ることじゃないのに…!


「あ、頭上げてください、先輩っ!私先輩が無事でよかったっていうだけでホッとしてるので…!」


事故に遭ったり、何かの事件に巻き込まれたりしてなくて本当に良かったっ…。


「…逆に上げられないな。心配させたってことでしょ?」


「心配はしましたけど安心したのでいいです!だから頭あげてください…!」


「…うーん…それじゃあ俺が納得いかないからお詫びに彩ちゃんに何かさせてよ」


「っえ?」


「下見し終わった後にさ、彩ちゃんのしたいことしようよ?」


「えぇ!?」


そんなことありなの…!?


「そ、そんな!申し訳ないですし…」


私のしたいことに付き合わせるなんて、先輩大変なんじゃ…。