俺には強力な味方がたくさんいる。
一年後の環奈の誕生日、俺はこの日に向けて着々と準備を始めていた。

会社で重役との会議が終わり部屋を出ると、桐山が通路脇にあるソファーに足を組んで腰掛けていた。

「桐山?」

「おう、ちょっといいか?」

俺は桐山の隣に腰掛けた。

「この前調べといてやるって言ってた男のことだけど、ありゃ、ダメだな」

「ダメ?」

「女癖が悪すぎる」

「それ、本当か?」

「あぁ」

「だったら一刻も早く環奈から遠ざけないと」

慌てる俺に向かい、余裕の表情を見せる。

「もう、終わった」

「終わった?」

「こっちで処理しておいたから。もちろん合法でね」

「サンキュー助かった」

「まだ気は抜けないぞ。悪い虫はすぐにやって来る。でもまぁ、そっち方面は俺に任せろ」

「すまない、頼む」

「これで、 桐山法律事務所(うち)を手放せなくなっただろう?」

「そうだな」

「じゃあ、俺行くわ」

桐山はひらひらと手を振りながら、エスカレーターを降りていった。