もう菫ちゃんと同じ学校に行くのは中学校で終わり。先にそれに気付いたのは、今度は桜の方だった。


菫ちゃんは成績優秀。市内でも進学率の良い学校に進むだろう。


自分は真ん中ぐらい。菫ちゃんと同じ学校に行くなら、今から血を吐くぐらい勉強をしなくてはならない。


内申点は悪くはないので、少しはそれでカバーできるだろうが、それだけでは足りない。


「お母さん、私、塾に行きたい。」


桜は母親にそう申し出た。



菫ちゃんと離れるのが怖かった。道を踏み外しそうなときに止めてくれる人が欲しかった。


母親は突然、目を輝かせて勉強熱心になった娘を応援したく、桜を塾に入れてくれた。


一方の菫は「私は大丈夫だから。」と断った。


家計のことを考えての思いからだった。


双子はなんでも倍かかる。一度一気に払えばその後は必要なくなるが、その一気が大変なのは、中学生にでもなれば、薄々勘付いてはくる。


桜は何度か菫に塾に通うように誘ったが、尽く断られたため、一人で送迎バスに乗って通うこととなった。


その努力の甲斐もあって、春には二人は同じ高校に入学した。


そうして入学から二ヶ月の月日が過ぎようとしていた。