会議は滞ることなく流れた。


自己紹介をして、文化祭の出し物の注意事項を担当の教員から伝えられた。


1年生はお菓子系の飲食店と決まっており、各クラスかぶらないこと、衛生管理の徹底、調理をする場合は揚げ物以外で可能などの話が伝えられた。


会議が終わったら部活に行かなきゃ。


菫は長ったらしい担当の話の要点だけをノートにメモをして、あとは今日の部活のことを考えていた。


高校も陸上部に入った。種目は100メートルだが練習はハードで体力的にもついていけず、タイムが伸び悩んでいた。


なんとか夏の大会では記録を残したい。


減量と筋トレと……



「ねぇ、聞いてる?」


えっ?聞いてる?


「君のこと。神谷菫さん。」


菫がノートから顔を上げると、隣の席の成海と目が合った。


「君さ、神谷桜と双子なんだろ?」

「そうだけど……」

「なんつーのか、あんまり似てないんだね。」


またその話か。正直耳にタコって感じ。


てか担当の先生はどこ?私語の注意をしてくれ。


あ、配らないとダメなプリントを忘れて職員室に一旦戻ったんだっけ……。


「神谷よりキレイだもんね。」


へっ?はっ?


菫はキョロキョロと周りを見渡した。どこかに桜がいるのではと思った。


「君のことを言ってるんだけど。」

「……!!」


なにこいつ?真顔でキレイとか!!


頭の回路、どこか変なんじゃなかろうか?本当に桜がべた褒めしてた人なわけ?