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 そして、今日も今日とて、さぎりは子狐と共に、市場に買い出しに向かっていた。
 ふと、首から下げている御影のお守りのことを思い、さぎりは首を傾げる。

「このお守り、もしかして、何か異能の力が込められているのかしら」
「きゅーん?」
「ね。子狐ちゃんは、どう思う?」
「くぅーん?」
「そうよね、分からないわよねぇ」
「きゅん」

 縦に首を振る子狐に、さぎりも肩をすくめる。
 お守りといえば、崇史から貰ったお守りもある。さぎりがいつも、胸元に隠しているものだ。

「そういえば、崇史様のお守りは、希海様も持ってるのよね」
「……きゅん?」
「ちゃんと身につけていらっしゃるかしら。きっとね、あれには間違いなく、崇史様が異能の力を込めていたと思うの」
「きゅ、きゅん!?」
「崇史様が大好きな希海様のことだからね、肌身離さず持ってると思うのよ」
「くぅん!?」
「子狐ちゃんも、そう思うでしょう?」
「……」
「子狐ちゃん?」

 何故か青ざめ、挙動不審になっている子狐に、さぎりは首を傾げる。
 何か気になることでもあるのだろうか。