ドキドキしながら脱衣所の電気をつけた優莉奈は盛大なため息を吐きたくなった。
そこにあったのは壮絶な光景だった。

思えば、掃除ができない人間が、水場だけ清潔を保てるわけもなかったのだ。
水場は特に汚れやすい。

床には使ったのか洗ったばかりなのかわからないタオルが散乱し、洗面所にはヒゲを剃った残骸がそのまま残されている。
鏡は水垢で真っ白で見えないし、浴室にはピンク色のカビが生えている。

ここで体を洗っているのかと思うと全身に鳥肌が立った。

「こんなんで入れるわけないでしょ」
優莉奈は思わず愚痴をこぼし、掃除をするために再びビニール手袋に身に着けたのだった。