そんな強迫観念に囚われて思わず口に出してしまった。
「何言ってるんですか先輩。恋多き女はいい女ですよぉ?」

給湯室にひとりでいたはずなのにそんな風に声をかけられて飛び上がらんばかりに驚いた。
視線を向けると、給湯室の陰にいつの間にかマイちゃんがいて、片手にプリンを持っている。

「マ、マイちゃんいつからそこに!?」
「さっきからずっと。給湯室に入ってくるときに一声かけたんですけど、先輩全然気が付かないからぁ」

言いながらスプーンを片手にプリンを食べ始めてしまった。
「こんなところで食べるの?」

給湯室の隣にはこじんまりとした休憩スペースがあり、軽食はそこでするようになっている。
パソコンを使う仕事のため、部屋に持ち入れるのは蓋つきの飲み物のみとなっている。

「だって、休憩室じゃ他の人たちに話を聞かれちゃいますよぉ?」