なにせお互いになにも知らない者同士だから、話し始めたらあれもこれもと話題が着きない。
気がつけばまどから朝日が差し込んでいたらしい。

寝不足だけれど俊介の心は充実していて、お肌もツヤツヤになったということだった。
「いいなぁふたりとも! 青春しちゃってぇ」

「マイちゃんだって彼氏いるでしょ」
「いますけどぉ、大学時代から付き合ってると新鮮味がなくなるっていうかぁ」

不満そうな表情のマイちゃんに「贅沢」と、ツッコミを入れる。
こっちは長く付き合いたくてもうまくいかないことばかりだったから、マイちゃんが羨ましいくらいなのに。

「とにかくさ、お互いにうまくいくといいですねぇ?」
マイちゃんが俊介と優莉奈へ向けて満面の笑みを浮かべる。

優莉奈と俊介は目を見交わせて、なんとなく気まずい笑みを互いに見せた。
その笑みの意味を、今はまだ誰も知らなかった。