リップを直し終えたマイちゃんがまたまた目ざとくそんなことを言う。
俊介はギクリとした様子で目を見開き、それからまた大あくびをした。

興味があるのかないのか、わからない反応だ。

「もしかして梓ちゃんと一緒にいた?」
「いや、そうじゃない」

優莉奈の質問に左右に首を振って否定しながらも、まんざらではない顔だ。
「実は一晩中電話してたんだ。彼女、電話好きなんだな」

そう言って照れ笑いを浮かべる。
なるほど。

一晩中あの美女の声を耳元で聞いていたのなら、そのまま寝不足になってしまうだろう。
変な妄想までしてなきゃいいけれど。

「そんなに、なにを話してたの?」

「色々だよ。仕事の話とか、趣味の話とか」