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「あれれ、先輩? なんだか肌の調子がよさそうじゃないですかぁ?」
どうしてマイちゃんはこんなに鋭いんだろう。

翌日の会社でさっそく肌の調子を指摘したマイちゃんも、いつものことながらツヤツヤとした肌を輝かせている。

自分こそお肌ツヤツヤだけどなにかいいことあった?
と、質問してみたかったけれど、彼氏とのノロケ話を聞かされるだけだろうからやめておいた。


「別に、そんなことないと思うけど」
無難な答え方をするとマイちゃんは不服そうな表情になった。

「そうですかぁ? 昨日なにかいいことあったんじゃないですかぁ?」
食い下がってくるマイちゃんを無視してパソコンの電源を入れる。

立ち上がるのを待つ間に目元のマッサージをすることにした。
ずっとデスクに張り付いて仕事をしていると、どうしても眼精疲労が溜まっていく。

一方マイちゃんはいつもどおり手鏡とリップを準備している。
「もしかして小野木さんといいことあったんですか?」

リップを塗り直しながら器用に話しかけてくる。