きっと、顔も間抜けになっていたことだろう。

「もう真っ暗だし、ここから優莉奈のマンションまでは距離があるからな」
当然のように胸を張って言う一樹に優莉奈は「あぁ、はい……」と、頷くしかなかった。

服を貸してくれたり、ソファでゆったりくつろいだりして、てっきりこのままお泊りになるかと思っていた。
そんな想像をしていたのは自分だけだったようで、途端に恥ずかしくなる。

「今日は本当にありがとう。優莉奈のおかげで明日母親が来ても大丈夫そうだ」
「そうですか……」

優莉奈はやっぱりスッキリしない気持ちで曖昧に笑ったのだった。