お昼を過ぎた頃、おばあちゃんが頼んだ物を持って病室まで来てくれた。
「優茉ちゃん、心配したのよ?急に入院だなんて。いつから調子悪かったの?ちゃんとお薬は飲んでいたのよね?ご飯は?しっかり食べられてた?」
到着してすぐに、いつもの事だけれど質問攻めにあう。
「おばあちゃん、忙しいのにごめんね。念の為の数日間の入院だから、心配しないで」
「おじいちゃんも心配しているのよ。しばらくこっちに帰ってきたら?おばあちゃんが優茉ちゃんの好きな物いっぱい作ってあげるわ。また大きな発作が起きて、もし一人だったらと思うと心配よ」
...あまり私の話を聞いていないのも、いつもの事。
「ありがとう、でも本当に大丈夫だから。ちゃんと病院にも通うし、もうこんな事ないようにするから」
「本当に?いつでも帰ってきていいのよ、あそこは優茉ちゃんの家なんだから!
お店なんてどうとでもなるのよ。優茉ちゃんの方が大事に決まってるじゃない!だから遠慮なんてしないで何でも言いなさいね?」
「おばあちゃん...。じゃあ、退院したら少し帰るね」
今まで散々面倒を見てもらったし、忙しい二人にこれ以上面倒はかけたくないけれど、おばあちゃんの気持ちが嬉しくて目が潤みそうになった。
「いつでも待ってるわ。おじいちゃんも喜ぶわよ」
私がそう言うと、おばあちゃんは満足そうに笑ってくれその笑顔に心が癒された。
そして頼んでいた荷物と、私の大好物であるおばあちゃんの卵焼きを置いていってくれた。
明るい声が無くなりシーンと再び一人になると、涙腺が緩んでぽたっと涙が落ちてくる。どうも体調が良くないと心も弱くなってしまうよう。私は自分が思っている以上に、不安だったのかもしれない。
でもネガティブになっていてもしょうがないので、涙を拭って持ってきてもらった荷物の中から小説を出して読み始めた。