柊哉side

 結城と別れてから、再び脳外のナースステーションへと向かった。
 急に現れた俺に驚いていた人もいたが、半分以上は三年前から変わらない顔ぶれに少し安心した。

 天宮先生の奥さんだというもう一人のクラークの女性にも声をかけ、彼女のことを伝えると「えっ?優茉ちゃん倒れたんですか⁈ 先週から少し体調悪そうだったから、気にはなってたんですけど...」とひどく驚いてからとても心配そうに彼女の事を考えている様子から、二人の関係性が伺えた。

 「ちなみに、宮野さんはいつからここのクラークに?」

 「え?クラークは今年の四月からですけど、その前はずっと外来受付にいたみたいですよ。香月先生、優茉ちゃんのこと知ってるんですか?」

 「いや、少し気になっただけ。宮野さんの様子がわかったら後で...って、旦那さんに聞いた方が早そうだな」

 「あ、そうですね。後で連絡してみて、目が覚めたら様子見てきます!」

 「ああ、よろしく」

 その後は再び医局に戻り、病棟に入院している患者さんのカルテの確認やオペの検討など仕事に集中し、彼女のことは考えないようにしていた。

 彼女が目を覚ましたと結城から連絡があったのは、もうとっくに日が暮れた頃。今日は一旦帰り、明日以降彼女の病室に行こうと決めた。