柊哉side

 Tシャツを脱がされ、俺がいつも優茉にするように首、鎖骨、胸とキスをしたり舌を這わせてくる。
 今までにない彼女の行動と柔らかい舌の感覚に、身体の奥が熱くなり昂りを抑えられない。

 たまらず優茉の顔を引き寄せキスを落としながらパジャマを脱がせ、キャミソールの上から柔らかい胸に触れるが、またその手を掴まれる。

 「んっ、だめ...」

 「優茉、もう限界。いじわる言わないで?」

 それでも「だめなの」と身体を離して床に降り俺の膝の間に座ったかと思えば、スウェットに手をかけ始める。

 「ちょっ、ちょっと優茉!何してるの!」

 慌てて彼女の手を外し抱き上げ、再び膝の上に乗せる。
 俺のを直視した事すら無い優茉に、そんな事まではさせられない。

 膝に乗せた彼女は恥ずかしそうに俯きながら小さい声で呟く。

 「いつも、私ばっかり、だから...。私も、してあげたいの...」

 「気持ちは嬉しいけど...。優茉、した事ないでしょ...?」

 すると、俯いたまま小さく首を振る。


 ......ある、のか?
 たしか、優茉はあまり経験がないし、こういう行為は苦手だったと言っていたよな?
 今でも胸に触れただけで顔を真っ赤にするウブな優茉に、そんな事を教えた奴がいたなんて...。顔も知らない過去の男に、苛立ちすら覚える。

 「...誰に、教わったの?」

 別に知りたくもないのに、思わず低い声が出る俺に、ピクッと肩を揺らし怯えた顔をする優茉。

 「怒って...ますか?」
 
 「いや、ごめん。ただ...ちょっと、意外だったから...」

 「ごめん、なさい...」

 「怒っていないよ?それに積極的な優茉も可愛いかったけど、俺はやっぱり優茉に触れたい」

 首に吸い付きキャミソールの中に手を入れ、柔らかい肌を撫でる。

 「んっ... でも、相馬さんが...」


 ......相馬さん? 

 なぜ今、伊織の名前が出てくる...?

 思わず手を止め優茉の顔を覗くと、しゅんと落ち込んだような表情で唇を尖らせている。

 「...伊織が、何?」

 睨んだつもりはないが、少し視線が鋭かったのか再び優茉の表情が強張り、ふるふると首を振る。

 「な、何でも、ないです...」

 「どうして伊織の名前が出てきたの?教えて?」

 「ほ、本当に、何でもないんです...」

 しばらく優茉を見つめてみたが、目を逸らし口を開こうとはしない。