柊哉side

 水を飲ませてからソファに座らせ、髪の毛を乾かすと「これして?」とヘアオイルを持ってきた優茉。
 ああ、いつも髪の毛から香っているのはこれだったのか...

 少し手にとり髪に馴染ませてから、彼女を膝の上に乗せて抱きしめ香りを吸い込む。
 お風呂上がりの石鹸の香りと、いつもより濃く香ってくる優茉の匂い。

 それを堪能していると「ふふっ、柊哉さんもお揃いです」そう言いながらヘアオイルを俺の髪の毛にもつけている。

 彼女の身体を離してもふわっと香りが漂うが、不思議と優茉とは違う香りがする。
 そんな事を考えていると、膝に乗ったままの彼女が俺の頬を両手で包みちゅっと唇を重ねた。

 「ふっ、優茉眠いんでしょ?ベッドで寝よう?」

 抱き上げようとしたが、「んーん」と立ち上がろうとする俺の首に抱きついてくる。

 「このまま寝たいの?」

 そういえば前に酔っ払った時も、こうやっているうちに眠ったんだったなと思い出し、頭を撫でてみるとガバッと身体を起こす。

 「違うの...」

 そう言って俺をじっと見つめてくるけれど、いまいち意図が分からない。

 「どうしたの?一緒に寝る?」

 ふるふると首を振るだけで、何も言わない優茉。
 どうしたいのか分からず言葉を待っていると、顔を近づけて再びちゅっと唇に触れる。

 これは......、して欲しいというアピールか?

 眠そうだったし、きっとまた記憶はないだろうから今夜は我慢するつもりだったけど...

 「優茉? 俺に何して欲しい?」

 耳元でそう聞くと、恥ずかしそうにしながら「...私が、するの」と小さい声でそう言って、ちゅっちゅっと俺の頬や耳、首にキスを落とし始める。

 ...は? 私が...する?
 普段の彼女からは考えられない行動に、一瞬思考が止まる。

 「ちょっ、優茉?」

 Tシャツの裾から手を入れ身体を撫で始めた手を掴むと、頬を赤く染め瞳を潤ませながら「...だめ、ですか?」と上目遣いで見上げてくる。

 せっかく、我慢していたのに...

 ほとんど衝動的にぐっとその手を引き唇を塞いでいた。舐めたり吸い上げたり優茉の柔らかい唇を堪能してから、力が抜けたところで舌を入れ上顎をくすぐる。

 「んっ、ふぅ」

 弱いところをくすぐると、すぐにピクッと跳ねる優茉の身体。パジャマのボタンに手をかけるとその手を掴まれたが、構わずボタンを外していると、今度はグッと胸を押し返され唇が離れた。

 「っはぁ、だめ、です。私が、するんです」

 どうやら俺は手を出すなという事らしいが...何でだ?いつもなら、自分からキスをするだけで顔を赤くしているのに...。