薬をもらい着替えを済ませて外に出ると、スマホにメッセージが届いていた。

 それは柊哉さんからで、オペが終わるまでの間向こうの病院の近くに泊まる為しばらく家には帰れない、そんな内容だった。

 はぁ。なんとなく、そんな気がしていた。けれど、彼の温もりを知ってしまった今、あの広い部屋に一人でいる事が、そろそろ寂しすぎて辛くなっている。

 私も、その間おばあちゃん達の家に帰ろうかな...

 オペがいつ終わるのかもわからない。終わったら、本当に戻ってきてくれるのかも...わからない。

 結城先生の言う通り、私は彼を信じている。私にくれた愛は、本物だったと。

 それでもやはり一人でいると、どんどんネガティブな方に考えてしまい、心も身体も休まらない。
 やっぱり、少しの間だけでも実家に帰ろう。このままだと、また身体を壊すかもしれない...。

 マンションに帰り、さっそく荷物を詰める。急に帰ったら驚くかもしれないけど、きっと二人なら受け入れてくれるはず。

 荷物をまとめながら思い出すのは、初めてこの家に来た時の事。
 あの時は、本当にただ一時的に同居するだけだと思っていた。それが、こんなにも彼を愛してしまう事になるなんて...、全く想像もしていなかった。

 色々な出来事が思い出されて、寂しくて悲しくなってくる。
 それでも、彼との未来を諦めたくない。どんなに考えても、辿り着くのはいつも同じ想い。

 少し前までは、幸せを感じる事があんなに怖かったのに...。
 いや、今でも少し怖い。もし、本当にこのまま彼とお別れする事になったら、私はきっと、もう二度と人を好きになることはない。

 でも、この数ヶ月で彼が注いでくれた愛は、確実に心を満たし、臆病だった私に力を与えてくれた。
 だから、もうただ怖がって逃げる事はしたくない。

 柊哉さんと、幸せになりたい。