ハッと目が覚めると、朝日が降り注ぐ明るい部屋の中だった。
...あれ?私、いつ眠っちゃったんだろう...
隣に柊哉さんがいない。もしかして、もうお仕事に行っちゃったのかな?今日は確か土曜日だったよね?
起き上がるとハラっと毛布が落ちて、一糸纏わぬ自分の姿に驚く。
っ、そうだった。あの後そのまま寝ちゃったんだよね、きっと...
とにかく、何かを身に着けてバスルームに行かないと。
誰もいないのに両腕で身体を隠しながら、ベッドから足を下ろし床に着くと、カクンと膝から崩れ落ちる。
え...?もしかして、まだ力が入らないの...?
自分でも驚き呆然としていると、ガチャっとドアが開く音が耳に入り我にかえる。
ベッドの上の毛布を慌てて手繰り寄せて身体に巻き付けていると、目の前に彼の姿が...。
お家に居たんだ...。どうやら今の音で心配して駆けつけてくれたみたいだったけど、昨日のことが恥ずかしくてまともに顔も見られない。
とにかく服を着るために部屋を出てもらい、もう一度足を踏ん張るとちゃんと立つことができ一安心した。
部屋を出ると香ばしいようなふわっと甘いようないい香りがして、お腹がぐぅと音を立てる。そういえば、昨日は夜ご飯も食べなかったんだよね...。
シャワーを浴び身体を洗うと、鮮明に昨日の行為が思い出され一人恥ずかしくなり、ささっと済ませた。
何度も肌をなぞってはキスを落としていく感覚がまだハッキリと身体に残っていて、それを思い出すたびお腹の奥がジンとする。
最後の方はあまり覚えていないけれど、お腹の奥で感じた彼の感覚と一つになれた時の幸福感は全身でしっかりと覚えている。
今までは、ただ相手の欲求を解消する為だけにしていた行為だった。そこに気持ちよさや幸福感を感じた事はなく、ほとんど義務のようにこなしていた。
昨日は初めての感覚に戸惑ったけれど、とんでもない高揚感に包まれ、彼がより一層愛おしく思えた。
前に麻美が、えっちは愛を確認し合う行為だって言っていたけれど、初めてその意味がわかった気がする。
着替えてリビングに行くと、テーブルには美味しそうな朝食が並んでいて、大好物を前に思わず顔がニヤけそうになるのを堪えると...
「ふふっ、お腹すいたでしょ?食べよう?」
「あ、ありがとうございます。作っていただいて」
思いのほか近距離で顔を覗き込まれて、また恥ずかしさが込み上げてしまった。