「優茉」

 脳が溶けてしまいそうなほど、甘く低く艶やかな声。

 「優茉の全部が欲しい」

 そっとベッドに降ろされ、すぐに上から影が落ちる。

 真っ直ぐに私を見下ろす彼は色香を纏い、愛おしさが込められた瞳に射抜かれ、息が止まる。


 胸元でぎゅっと握っていた手をとられ、シーツに押し付けながら指先を絡める。

 「柊哉、さん...」

 名前を呼ぶと、影がさらに降りてきて反射的に目を閉じる。

 ちゅっ ちゅっとわざと音を立てながら、閉じた瞼、頬、鼻先、唇へと甘く優しいキスが落ちてきた。


 次第にキスは熱を帯びていき、唇を舌でなぞられ僅かにあいた隙間から熱い舌が滑り込んでくる。

 「っん... ふぅっ」

 ゆっくりと歯列をなぞり、上顎をくすぐるような動きに、身体が痺れ息をするのを忘れてしまう。

 
 次第に胸の奥の方から暖かいものが溢れてきて、身体中にじわじわと広がっていく。

 なに... これ...?

 こんな感覚、初めて...
 
 思わずぎゅっと手を握ると、舌先をちゅっと音を立てて吸われ、体温が離れていくのを感じる。