「まあ、…好きに呼んでほしい」


「…ハル様、が、いいです」



そう呼びたい。

時榛という名前も素敵な名前だけれど、私はハル様と。



「…きみはそう言うんじゃないかと思ってたよ」



手から伝わってくる熱が、また上昇した。

そこを気にしていたら自分に新たな感情を生ませてしまいそうで、見ないふり。



「なにかあったら、どんなことでも言ってくれ」



できることなら握り返したかった。
してもいいなら、私だって。

そんなふうに迷っているあいだには宙を切ったふたつの手。



「俺の身体は…人より丈夫なところがあるから、きみにはたくさんの恩もある」


「…ありがとうございます」



ずっと、いてください。

私に恩があるというのなら、私が満足するまで居てくれませんか。


ああなんて、厚かましい女なの私は。