完全に手にしていた資料を置いたツクモさん。

ふーっと息を吐いて「後者か」とつぶやき、温泉まんじゅうをひとくち齧った。



「似たようなものとして上げるとするなら……遺伝子組み換えはどうだ」


「いでんし…くみかえ…」


「そう、注射器ひとつで体内に流し込むことができる。まったく世は恐ろしい開発をしおったものだ」


「!!…やっぱり…、」



その心当たりを、私もツクモさんも見逃さなかった。


動揺しながらも歯を噛んでいるハル様。

恨みや悲しみ、そういった感情が入り混ざっていた。



「だがそれは、ここ数十年の話でな」


「…え?」


「それも条件が揃った上で、医療関係で用いること以外は違法だ。デメリットも多いからの。…そもそも日本ではそこまではまだ浸透されておらぬはずだが?」