お医者さんとしてのツクモさん目当てで訪れた私と、どうにも学者さんとしてのツクモさん目当てだったらしいハル様。

とりあえず黙っておくが良さそうだと判断し、彼に任せた。



「人間には人体の変化……みたいなものは、ありえますか」



唐突な質問に、別の資料を分析するついでに話を聞いていたツクモさんの動きが止まる。

丸メガネの奥から本来の顔が一瞬だけ見えた気がした。



「ふむ、興味深い話だな。それは先天的なものか?それとも後天的か?自然に起きたものか、人為的なものか」



聞かれた問い自体に彼は答えなかった。

その代わり自分の意見は持っていたようで、ツクモさんへと投げかける。



「たとえば…急に大食いになったり、急に足が速くなったり、急に力が……強くなったり。そういった薬、のようなものは存在しますか」