甘いものには目がなかったおじいさん。
結局は快く受け入れてくださり、なんとか第一関門は突破。
「オス、貴様はとくに大丈夫そうか。ワシの家の大切な柵を壊したくらいなのだからな」
「……あとで直しておきます」
オス……、
もう少し呼び方の候補はなかったのだろうか。
この人には“ハル”っていう、とても素敵な名前があるんだよおじいさん。
と思いながら、歩きやすいよう草木を退かしてくれるハル様に頭を下げつつ裏口へと向かった。
「ひとりで暮らしておられるのですか?」
「こんな男と添い遂げたい女が居るもんかい」
「…ああ、たしかに」
「おいオス、お嬢さんだけを置いて出ていってよいぞ」
「いえ、結構です」
整頓されていないんじゃなく、単純に物が多い。
なかへ案内されたものの、客間として使っているのだろう居間には山積みとなった資料たちがスペースを占領していた。