「…本当にここで間違いない、のか…?」


「……はい。間違いない…はず、です」



住所は間違っていない。

多少の年月が過ぎていたとしても、地形や番地が変わることは滅多にないと思う。


だから住所、は、間違っていないはずだ。


ようやくたどり着いた目的地。

私たちの前には、手入れされていない草木やとぐろを巻いたツルに覆われた廃屋のような一軒家があった。



「……出ないですね…、やっぱり人が住んでいないのかな…」



門前のインターホンを鳴らしても音沙汰はなかった。

そもそもちゃんと鳴っているのかすら不明で、思わず何度も押しちゃったけれど…。


さすがにここまで来て収穫ゼロにはしたくない気持ちは彼も同じなようで。



「なかの玄関を叩いてみようか」


「あっ、でも不法侵入に…」


「もちろん勝手には入らないさ。どちらにせよ玄関まで」