「……すごいな…、これぜんぶが蒸気自動車…?俺の知っているものとは大きさも形も違う」


「えっと…、ガソリンで動いています。なかには電気で動くものもあったりして…」


「……ここではもう、ガソリンは希少燃料ではないのか…」



私も動きやすい私服に着替え、旅館を出る。


薄手のニットセーターにデニムパンツ姿の私を目にして、まず顔を逸らしたハル様がすぐに興味を示したものは駐車場に停まる車だった。

そして次から次に出ては入ってくる送迎バスも。



「建物も…、ほとんどが石造りだ」



坂や階段、細い道だらけの温泉街は、常に観光客が訪れる観光地。

海沿いへ下っていけば、真っ青な海岸を見渡すことができる。


隣を歩く私が楽しくなってしまうほど、目に見える景色ひとつひとつに彼は口をポカンと開けては見上げていた。


ある程度下ってきたところで最後に橋を渡れば、車通りのある大通りへとつづく。