そうだよね、
わからないことばかりだよね。

説明しなかった自分が悪かったと、心のなかで反省。


脱衣場には必ず用意されているけれど、シャワーのことも知らなかった彼なのだから。



「これです。そちらの椅子に座ってもらえますか…?」


「…?」



もちろん客室にも必ず揃えてあるドライヤー。

大浴場だけでなく、客室露天がある部屋や、全客室には一応浴室がある。


そのため今みたいにサッと取り出すことが可能だった。



「熱風なので少しだけびっくりしてしまうかもですが…、失礼します」


「…!」



コンセントをさして、ブオオオオンと、あまり風量を強くしすぎず髪に向ける。

ふわり、またふわりと、そっと触れさせてもらった。


大人しく座っている彼はやっぱり母性をくすぐってくる。



「えっ」



表すなら、意地悪な顔、だろう。

どこか少年染みた顔を浮かべながら、クルッと向かい合ってきた。