「ご馳走さまでした」


「……お粗末さまでした」


「ははっ、どのへんが粗末なのか教えてほしいくらいだな」



言葉のあや、だ。

1升、しっかりと一粒残らず平らげてくれたハル様。


逆に見ていて気持ちの良い光景だった。



「ハル様、ぜひ3階にある温泉に入ってみてください。10時までは朝風呂がやっていますので…、昨夜はたくさん汗をかいたと思われますし、朝露天も気持ちがいいですよ」


「…じゃあ、お言葉に甘えて」


「あっ、それから…」


「ん…?」



また浴衣を着せるわけにはいかない。

というより、浴衣で病院へ向かうのは少しだけ浮いてしまう。


ここに来る前にスタッフルームに寄って、常備してある上下のメンズ服や下着を借りてきた。



「こちら、タオルとお着替えになります」


「……ありがとう。また少し変わった猿股だな」


「さ、さるまた…?」


「あっ、いや…、じゃあ、浴びてくるよ」


「ご、ごゆっくり…どうぞ」