「食べると回復するタチなのかしら…」
顎に手を当てながら考え込むポーズでつぶやく透子さん。
なんの話だろう?と、ついとぼけた顔を向けてしまった。
「ほら、海岸脇で倒れていたのよ?来たときは意識もなくて、あんなにも高熱だったじゃない。それなのに今朝にはあの食欲。熱も下がっているんでしょう?」
首をひとつ落として、肯定を促す。
「若さってすごいわ…、異次元ね」
異次元。
透子さんの言葉に訂正を加えるならば、異次元すぎる、といったところだ。
果たしてあの超人的な食欲と回復力を、“若さ”で片付けてしまって良いものなのだろうか。
と、思ってしまうくらい、変わったひと。
不思議よねえ~と、今のところは透子さんと一緒にうなずいておいた。