まだ私自身も半信半疑な部分もあって、本当にそんなものがあるのか……とも。


井戸端会議を利用するように女性の仲居たちに言ってみるか、それともフロントや経理をしている上の方たちにいきなり話を通してみるか。

だったら支配人である音也様に言ったほうが手っ取り早いんじゃないか。


しかし結局は、まずは昔からお世話になっている透子さんにあるがままを伝える結果となった。



「そんなの嘘よウソ!ただのワケありなんじゃないの…?だって裸で倒れてたってのも、おかしいじゃない!」


「でも…、なにか大きなショックや衝撃を受けたとき、そういうものはあるみたいです」



すべてネット知識ではあるけれど、無知よりはマシだ。

どうにか彼をここに置いてあげるには信憑性が大切だと思い、私は透子さんの否定をすべて否定で返した。