彼が食べているところをもう少し見ていたかった……と、思いながらも。

透子さんと一緒に部屋を出て、非常階段前の物陰に隠れる。



「もしかしてあれ、いま流行ってる迷惑系クリエイターってやつじゃないの」


「迷惑系…?それはなんですか…?」


「知らないの?最近、動画投稿サイトだったりで活動する若者たちがね、こういう旅館のご飯はどれだけ食べられるのかって遊び半分で競ったりしてるらしいのよ」



こういうとき、しみじみ自分は世間知らずだと思う。


基本、知らない。

流行りだとか、トレンドだとか、めっぽう分からない。



「ほんっと、なにが楽しいんだか。いまの若者は理解できないわ…」



旅館側からすれば、なにかの宣伝でない限りかなりの迷惑行為に該当する。

クリエイター側もクリエイター側で、どれだけ再生回数を稼げるかの目的でしかないらしく。