「ふがァ……ッッ!!」



バコン───ッッ!!

何かが男の顔面にものすごいスピードで飛んできた。


とてつもない速さが乗っかっていたため、それが畳にぶちまけられてから茶筒だったのだと理解する。


すぐさま身体に戻った自由。

私の上に覆い被さっていた男は飛んできた茶筒によって鼻血を垂らし、舞い上がった茶葉に噎せては咳き込んでいた。



「なっ、なにす……っ、けほっ、ケホ…!!」


「目を覚ましたら隣で若い女を強姦している不埒者がいたのでな、つい」


「ごっ、強姦って大袈裟な…!ははは、たまたまの事故じゃないか!そうだろう一咲さん?だいたい僕と君は親子ほどの年齢差が───」


「なかなか良い急須だな、これ。投げたら鈍器に変わりそうだ」


「ひっ、ひぃぃっ!」



8畳一間の客室のため、布団を敷くとなれば座卓を端に寄せることになる。

そこに乗った茶びつから、彼はいつ茶筒を取り出したのだろう。


そう思っているあいだには、気づけば2人きり。