「今日、どこに行きたいか決まった?」


「…ハルくんとなら…どこでもいいな」



やっと敬語は取れたものの、名前だけはこそばゆい。

ぜんぜん慣れないし、私がそう呼ぶたびに照れくさそうな顔をしてくる。


私たちらしく少し変わったことをしてみよう、なんて提案はお互いを初々しくさせるだけだった。



「……そんなこと言ったら、俺の好きなようにさせてもらうぞ」



もうしてる。
くすぐったくて、恥ずかしい。

明るいなかでは嫌だという私の気持ちも、こういうときだけは無視してくるのだ。


きっとこれが、しあわせ。




「一咲、俺は今日もきみを愛してるよ」




千歳の時を越えた、ハル様。

私に会いにきてくれた、ハルくん。


出会って世界が変わった。
それはきっと、昔も。

こんなにもまぶしくて輝いているとは知らなかった。



やっと開かせたんです。

周りに埋もれてしまうほんの小さなつぼみが、千歳の時を越えてひとつの花を咲かせたの。



この先もあなたと、声が出ないほどの喜びを共に。