新会長となったお義父様が読み上げていく隣で、新当主の本人も優しい顔。
めきめきと従業員たちの信頼とやる気が満ちていくのが感じられる。
「そして最後に」
これからもみんなで頑張っていこう───というような締めの言葉だ。
そのあと揃った返事が響いて、今日の仕事に取り組む。
しかし私の想像、消え去る。
「花江 一咲は、今日かぎりで華月苑をクビとする」
「……………」
パチパチパチ、
みんなが顔を見合わせて瞬き。
聞きまちがい?そうよね?と誰かが問いかけて、うんうんと誰かが首を縦に振る。
ので、お義父様。
なぜかもう1度と言ってきました。
「花江 一咲は、今日かぎりで華月苑をクビとする」
どうにも聞きまちがいでは、ないようで。
ただ、透子さん。
透子さんだけは瞳を伏せながら微笑んでいた。