「それは……本当の話なんですか」


「…ええ、病院から連絡があったんですって。それでさっき、工藤家からこっちに電話があってね」


「そう……ですか…」



いつもより静かだ。

まだ朝風呂も解放されていない、早朝の5時過ぎ。


すこし早く目が覚めてしまった私がスタッフルームに向かうと、そこには透子さんとベテランのフロント長が細々と話していた。



「おはよう…ございます」



私の声はいつもは通らないことのほうが多いというのに、今日は違うみたいだった。

ふたりしてビクッと肩を跳ねさせて、どこか複雑そうに振り返る。



「か、一咲…、早いじゃないの」


「おはようございます…、一咲さん」



揃って瞳が揺れている。

困惑とか、疑心とか、そういう気持ちが見え隠れしている顔で。