冷静に考えれば俺が取ってしまった行動は誇り高き日本男児あるまじきものだ。

許嫁がいて、結婚が決まっている女を抱いてしまったのだから。


元いた時代であったならば海軍兵の称号も剥奪されていたかもしれない。


ただ俺は、後悔などしていなかった。



「俺も手伝っていいかな」


「っ…!!……は、はい…」



中庭の庭園はきみの休息場のひとつ。

ホースを手にしてカチカチとボタンをいじっていた一沙に、俺は声をかけた。


表面上では変わらず接しているつもりだが、実際はかなり耐えている。


ほら、そんなにも真っ赤な顔をしているといろんな意味で危ういこと。

本人はまったくもって自覚していない。



「もし今後、きみに何かしらの制裁が下ったとしたなら……俺が全責任を受ける」



きみは何も心配しなくていい。
それくらいの覚悟だった、昨夜は。

キラキラと葉から滴る雫がピチャンと落ちたところで、俺は静かに告げた。