時榛side




「ハルくん悪いんだけど、そこに積んである座布団と机、ぜんぶ清流館の宴会場に運んでもらっていいー?」


「この量だと20分はかかりますが、大丈夫ですか?」


「えっ、5分じゃなくて?」


「はい。早くて20分です」


「そう…なの、…いいよいいよ!」



1度で運べる座布団の量が減り、運びながらの徒歩速度も遅くなった。

逆に困惑の目を向けてくる上司たちは、どうにも感覚が麻痺してしまっているらしい。


普通の人間は5分は無理だ。
俺じゃなかったら30分以上はかかる。


昨夜の情事が、俺の身体を今まででいちばん平均に近づけてくれた。



「支配人はしばらくのあいだ休養とのことだ。支配人が不在だからこそ、おもてなしの心を忘れず今まで以上に真摯に取り組むように」


「「「はいっ!!」」」