「それがどういう意味か、わかっているのか…?」
────うなずいた、ひとつ。
意味をなくした浴衣の帯。
はだけた胸元に埋められた顔。
荒く熱い息づかい、お互いの身体が擦れる音色、伸ばすぶんだけ取られる手。
名前を呼べば呼ぶほど、深いところまで愛してくれる。
『つぼみ』
ハル様。
いってらっしゃいませ、ハル様。
でも必ず戻ってきてくださいますか…?
私はいつも待っています。
あなたを、ずっとずっと待っていました。
「一咲」
“私”を愛してくれるひとなんて居ないと思っていた。
やっと、ようやく、来てくれたのですね。
重なっては消えて、また幻のように現れる泡沫(うたかた)のなか。
声を出すことができない私に笑いかけてくれる変わらない彼が、そこにいた───。
*