「それがどういう意味か、わかっているのか…?」



────うなずいた、ひとつ。


意味をなくした浴衣の帯。
はだけた胸元に埋められた顔。

荒く熱い息づかい、お互いの身体が擦れる音色、伸ばすぶんだけ取られる手。


名前を呼べば呼ぶほど、深いところまで愛してくれる。



『つぼみ』



ハル様。

いってらっしゃいませ、ハル様。
でも必ず戻ってきてくださいますか…?


私はいつも待っています。

あなたを、ずっとずっと待っていました。



「一咲」



“私”を愛してくれるひとなんて居ないと思っていた。


やっと、ようやく、来てくれたのですね。


重なっては消えて、また幻のように現れる泡沫(うたかた)のなか。

声を出すことができない私に笑いかけてくれる変わらない彼が、そこにいた───。