「一咲」



そう、わたしは、かずさ。

かずさ、一咲なの。


この名前だけは、花江家に引き取られる前からあったもの。



「俺はきみが可愛くて愛しくてたまらない」



激しいと思ったら優しくなって、私が慣れてきたなら噛みつくようなものに変わる。

きゅっとハル様の襟を掴めば、応えるように指が絡め取られながら繋がれた。



「もっと…、」


「…ん…?」


「…もっと…、言って……ください」


「……俺だってたくさん言いたい」



好きだ、きみがすきだ、

かわいい、いとおしい。


聞いているだけで恥ずかしくなるような言葉が、今の私には必要だ。


消えそうだったひとつひとつを暴くように触れられれば、私はまたここに戻ってくることができる。